東洋エンジニアリング株式会社は、大規模な化学プラントや発電所などのEPC(設計・調達・建設)を手がける総合エンジニアリング会社。世界中でプロジェクトに携わるグローバルカンパニーです。現在は、DXの力でEPC強靭化を図るとともに、カーボンニュートラル分野に力を入れ、循環型社会に貢献するエンジニアリングサービスにも着手しています。
海外に多くの建設サイトや拠点をもつために海外勤務者が多く、時差の関係でタイムリーなコミュニケーションに以前から課題がありました。特に問い合わせの集中する人事・総務・IT3つの部門は、従業員対応に多くの時間を取られていました。
こうした課題を解決するために2019年7月にDXoT推進部(※DX of TOYOの頭文字を取って命名された)が発足し、働く環境の改善や全社の生産性向上、コミュニケーションの効率化に取り組んでいます。また、チャットボットを導入後は運営タスクチームを立ち上げ、チャットボットの運用や社内への通知活動を行っています。
DXoT推進部での調査によると、チャットボット導入後、問い合わせが特に集中していた人事部門の3つのチームで約66%のお問い合わせ削減に成功したそうです。
この度4名の方に取材協力をいただき、お話をお伺いしました。
人事部 五十嵐様:人事部には日常的に社内からの問い合わせが非常に多く、その対応が本来の業務を圧迫していました。こうした状況は、長時間労働に繋がるため、問い合わせ対応をもっと効率化したいと考えていました。例えば年末であれば年末調整に関する質問が多く、問い合わせに答えているうちに夕方になってしまうということもありました。「勤怠の締め切り日はいつですか」といった問い合わせが何件も続き、同じような回答を返し続けるということもありました。
簡単な問いに関しては、社内の掲示板やマニュアルを見ればわかるはずなのですが、それがどこにあるかわからない、探しづらいといった問題もありました。
DXoT推進部 原田様:IT部門であれば社内システムの使い方や、PCの修理依頼をしたいときどうしたらいいかなど、トラブルに関するお問い合わせがよくありました。IT部門では全体の窓口で1次受付をし、問い合わせ内容に合わせて各チームに振り分けてから回答するというプロセスだったため、従業員が問い合わせをしても回答が遅くなってしまう状況も発生していました。
聞けばすぐに答えを返してくれるチャットボットは、こうした欲しい情報がどこにあるかわからない・探しづらいといった課題と、一つ質問するだけでも様々な人を介し、回答までに時間がかかってしまうといった課題に対する良い解決策になると思っていました。
人事部 鈴木様:第一条件にあったのは操作性やメンテナンスのしやすさでしたが、従業員がいつも使っているMicrosoft Teams上で人間とチャットしているみたいにコミュニケーションできるところが決め手でした。
人事部 五十嵐様:半年間かけて3社ほどトライアルさせていただきましたが、PEPは人事部の人に質問して答えてもらっているかのような会話感が再現できたのが魅力でした。
営業の中村さんがデモに来てくれたときに話してくれた「チャットボットのアイコンは会社のロゴとかではなく、キャラクターのアイコンにした方が良いです」という言葉はよく覚えています。この言葉からもチャットボットであっても人と会話している感じを再現したいという私たちの思いとPEPが実現したい世界観とが繋がっていたのだと感じています。
また他の比較したチャットボットになくてPEPだけにあったのが、一斉通知機能でした。例えばチャットボット側から「勤怠の締め切りは来週です」みたいな通知をしてくれる機能です。
DXoT推進部 浅野様:最近では総務部と連携して、一斉通知機能を館内放送の代替として活用しています。
リモートワークや出張などでオフィスにいない方にも館内放送で流しているお知らせが届くようになり、とても便利だという声をもらっています。
DXoT推進部 原田様:ちなみになぜTeamsなのかということについてですが、チャットボット導入検討時、弊社ではTeamsが社内の公式コミュニケーションツールとなり、もっと活用していきましょうという風潮が出てきたところだったので、今後Teams上で利用できることがもっともユーザーの利便性を高められるのではと考えていたからですね。
人事部 鈴木様:人事で最初に導入したのは、リモートワーク制度の解説と、教育関係の手続きでした。チャットボットを公開した2020年春は、慣れないリモートワークに関する問い合わせが多くありました。また、おうち時間が増えたことで自己啓発に取り組む人も多く、教育支援制度の資格取得サポートに関する問い合わせも増えました。それに続いて入れたのがITのアプリケーションの申請と総務部門のオフィス関連の手続きでした。
DXoT推進部 浅野様:最近チャットボットに入れたものでいうと、リニューアルされたタイムシート(勤怠入力システム)関連のシナリオです。システム自体が大きく変わり問い合わせもたくさん来たので、関連するQ&Aを答えられるようにしました。また、IT部門には新しく導入されたツール・システム関連のQ&Aを都度登録してもらっています。総務関連では会議室関連や設備関連等で問い合わせの多い質問に答えられるよう対応してもらっています。
人事部 鈴木様:親しみやすいキャラクターづくりと、より人間らしいリアクションを意識しています。たとえば、話しかける内容によって返答の雰囲気が違っていたりすると不自然ですし、なんだか二重人格のようでびっくりしますよね。従業員対応を必要とする人事・総務・ITの3つの部門でチャットボットを取り入れたので、当然それぞれ運用者が異なります。登録のルールをみんなで相談して、語尾や口調を合わせたり、話しかけやすいアイコンを考えたり、どういうキャラクターがいいかをみんなで決めました。本社の住所が茜浜にあることから「AKANEちゃん」という名前を付けました。
DXoT推進部 浅野様:DXoT推進部でとった2020年のデータですと人事部内の3つのチームでの問い合わせが導入前と比べて66%削減できました。
2021年での集計では年末調整の時期におおよそ1000件以上の問い合わせが人事部の担当者とチャットボット上に集まり、そのうち700件もの年末調整の問い合わせがチャットボットに届いたというデータもあります。
(実は、私も年末調整の質問をして多くの疑問を解決できたので効果を実感しています)
人事部 鈴木様:現場視点では、「マニュアルはどこですか」とか、「期限はいつですか」のような簡単な問い合わせが減りました。簡単な問い合わせが減ると、本当にサポートするべき方に対応する時間が確保できるようになりました。
DXoT推進部 浅野様:チャットボットを導入してから従業員アンケートをとっており、昨年度は270名ほどの従業員から回答がありました。「いつも助かっている」といった応援の声をはじめ改善を求める声もあり、中でも多かったのは回答の幅を増やしてほしいというご意見でした。日々出てくる疑問や、解決したいことが返ってこないことはまだ多いのかなと思っています。要望を出してくれる人は常に使ってくれている人で、普段からチャットボットに問い合わせているがもっとこういうことも覚えてほしいといった期待を抱いてもらっているのだと感じています。
人事部 五十嵐様:解決できない問い合わせや、問い合わせ数が減っていない担当業務もまだありますが、チャットボットが多くの問い合わせ対応を引き受けてくれている分、問い合わせ数全体は増えています。今まで問い合わせをしていなかった人もチャットボットなら聞いている、つまり聞きやすくなっているということを表しているのではと感じています。 誰に聞いたらいいかわからないというような声もよくもらっていたので、そういった社内の課題は解消できつつあるのではないかと思います。
DXoT推進部 浅野様:社内の掲示板で「AKANEちゃん」のキャラクターのイラストと一緒に「○○を覚えました」といったようなお知らせを載せたり、一斉通知で「○○について覚えたので聞いてくださいね」というお知らせを配信しています。
そして最近ではTeamsのデフォルトのアプリケーションとして、チャットボットを登録してもらったこともあり、今まで使っていなかった人にも「AKANEちゃん」のアイコンがTeams上に表示されるようになりました。新しく使ってくれるユーザーがさらに増えてくれることを期待しています。
人事部 五十嵐様:「チャットボットを導入したので社内で使ってください」と言っただけではなかなか使ってもらえません。DXoT推進部の浅野さんから人事に対して「このQ&Aをつくりましょう」と言われると、人事の方もぼやっとしていられなくて計画的にQ&Aを作り出すために動くことができます。DXoT推進部が中心になってDX活動を促進してくれているからこそ、自社にチャットボットが浸透していったのだと感じています。
東洋エンジニアリング株式会社では、海外に多くの建設サイトや拠点をもつために海外勤務者が多く、時差の関係でタイムリーなコミュニケーションに以前から課題がありました。 チャットボット導入後、問い合わせが特に集中していた人事部門の3つのチームで約66%のお問い合わせ削減に成功したそうです。
全国におよそ900店舗展開している「ほっかほっか亭」。 作りたてのあたたかいお弁当を持ち帰り方式で販売しています。 カスタマーセンターでは昨年社内で初めてチャットボットを導入。お客様からのお問い合わせに活用されています。 直近の1年間では今まで対応しきれなかったお問い合わせに対応できるようになり、対応件数を2倍にする事ができました。
ゲオ社の業務システム部では、各店舗からのお問い合わせを受け付けるサポートセンターの効率化を目指している。 約2000店舗で働くスタッフからの基本的な問い合わせに、AIチャットボットPEPがマニュアルへ誘導し、社内問い合わせ窓口への入電を24%削減した。
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