
工場の自動化を成功させるプロセスとは?最新版の補助金制度もご紹介
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工場自動化とは?
工場は以前から部分的な自動化が徐々に進んできた分野です。しかし、工場における自動化はハード面を指すことが多く、危険な作業などをロボットなどが代替してきました。
本記事では、工場における自動化の種類から基礎知識、導入のポイントまでわかりやすく解説していきます。工場自動化には2種類ある?!
工場の自動化を考えるとき、2種類の面を考える必要があります。それは、機械やロボットで作業を代替するハードウェアと、データ解析などを取り入れるソフトウェアです。それぞれ方向性を見ていきましょう。
ハードウエアによる自動化
人に負荷がかかったり、危険性が高かったりする単純作業をロボットで代替するものです。以前から使われているベルトコンベアーや攪拌器などもこれに含まれます。
最近では、最新のロボット技術を用いた自動化も進められています。例えば、液晶を製造する工場にて、生産過程で生じるホコリやチリなどの液晶に紛れ込む不具合を人工知能(AI)が感知して修復までを自動化するという技術があります。元々は、ips細胞の培養時に不要な細胞を除去するための最新技術をして生み出されたもので、工場に応用されるようになりました。
ソフトウエアによる自動化
センサーや業務フロー自体を監視するソフトによって、人に感知できない異常を即座に発見したり、データ解析により物流や製造を管理して効率化を図ったりするものです。こうした技術は製造業以外にも浸透してきており、ソフトウェアの場合、人工知能を使ったものが主流になってきています。
工場の自動化では、ハードウェアとソフトウェアを融合した自動化が求められています。アナログ業務が多い日本の工場で自動化を進めていくのは、容易ではありませんが、労働者不足や労働状況の改善に向けて優先的に進めていくべき分野ともいえます。
工場の自動化のメリット・デメリット
工場の自動化は、革新的でメリットが多いですが、中にはデメリットも存在します。そこで、導入前にメリット・デメリットについて把握しておくことで、より適切な自動化を進めることができると考えています。
自動化のメリット
・品質の安定
人の手作業で生じるばらつきをなくすことが出来ます。また、ヒューマンエラーは人の手でやる限り、起こりうるものであるため、確認作業にも時間を費やす必要があります。しかし、機械やロボットの導入を行えば、品質を安定させ、検品作業の負担も減らすことが可能です。自動化により、品質の管理が容易になることが大きなメリットといえるでしょう。
・労働者不足の解消
日本の製造業において、労働者不足は深刻な問題です。機械やロボットと人が分業を図ることで、より必要な領域に人的リソースを投入することができます。また、危険度の高い作業や人手不足による過労動を減らすことで、製造業のイメージを向上し、結果的に人材の流入へ繋がることも考えられます。
・生産性の向上
工場の自動化により、24時間365日体制での稼働が可能になります。工場内の管理も少数で対応できるようになるため、労働者不足に影響されることなく、安定的な生産が可能です。生産数の予測が立てやすく、管理もしやすくなります。
・働く環境の向上
重労働や危険性の高い作業を機械やロボットに任せられるため、従業員の負担や労災のリスクを減らすことができます。働く環境の改善は、従業員にとってのメリットが大きく、理解を得やすいのも良い点です。
自動化のデメリット
・導入のコストと時間がかかる
工場への自動化設備の導入は、システムやロボット等の大規模なものになります。そのため、初期費用が大きく、導入までの時間も相当かかることが予想されます。しかし、工場自動化のメリットを考えると、長期的な視点では十分に取り組む価値のあるものです。目先の利益や効率化だけではなく、自動化を進めるにあたっての長期的な計画の策定をする必要があります。
コストに不安を感じる場合には、国の補助金を活用するをいう選択肢もあります。代表的な補助金は後ほど詳しく説明します。
・理解の得にくさ
「自動化は人の仕事を奪うものだ」という悪い印象を抱いている社員も中にはいるかもしれません。そのような社員が、自分の仕事がなくなるのではないかという不安から反発が出ることも予想できます。そのような場合には、実際にはそのような目的がないこと、自動化でよりよい労働環境にできると考える根拠を説明し、自分たちへのメリットを体感してもらいましょう。
・教育の必要性
新しい設備やシステムの導入には慣れるまで時間がかかります。また、効率的に使ってもらうためにはマニュアルの策定や教育の時間を確保する必要があります。そういったプロセス込みで自動化に人員を割り当てたり、時間を割くように意識することが大切です。
【最新版】工場自動化のための補助金
1. ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、中小企業などが新規事業の推進に伴う設備投資資金の支援を行う補助金制度のことです。新規事業としては、革新的サービスの開発、試作品開発、生産プロセスの改善が当てはまります。この支援金制度には、一般型とグローバル展開型、支援者向けのビジネスモデル構築型があり、自社に合った形を選択しましょう。
ものづくり補助金の中には、デジタル枠というものが存在し、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む事業者と対象としたものとして機能しています。
通常枠の補助金上限と補助率を以下に示します。
《上限金額》
従業員数 |
補助金上限額
(円)
|
~5人 |
750万 |
6~20人 |
1,000万 |
21人~ |
1,250万 |
《補助率》
2. 事業再構築補助金
新型コロナウイルスの影響を受け、自社の需要の減少や売上悪化に悩まされている中小企業が、新分野での事業展開や業種転換、事業再編等に取り組むことを支援する補助金制度です。
この補助金制度を受けるには、
・2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
・経済産業省の「事業再構築指針」に沿った3〜5年の事業計画書を、認定経営革新等支援機関等と共同で策定すること
という2つの条件を満たす必要があります。
通常枠の補助金上限と補助率を以下に示します。
《上限金額》
従業員数 |
補助金上限額
(円)
|
~20人 |
100~2,000万 |
21~50人 |
100~4,000万 |
51~100人 |
100~6,000万 |
101人~ |
100~8,000万 |
《補助率》
対象企業 |
補助率 |
中小企業 |
2/3 |
中堅企業等 |
1/2 |
また、通常枠の他にも「グリーン成長枠」「緊急対策枠」といった補助枠もあるので、自社の状況と照らして、合致するものを確認しましょう。
▼詳しくは事業再構築補助金サイトへ
3. サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金
新型コロナウイルスの状況下で明らかになった日本国内のサプライチェーンが脆弱であると言う問題を解決するため、生産拠点が集中している事業や特に重要な製品・部素材などの国内生産拠点等の整備に向けた投資を促進させるための補助金制度です。
対象としては、サプライチェーンの途絶によるリスクの高い事業者で、詳細には以下の3つの事業が当てはまるとされています。
①補助対象事業A:生産拠点が集中している事業
②補助対象事業B:医療体制の確保など国民の健康に関わる事業
③中小企業特例事業:生産拠点が集中している事業のうち中小企業が行うもの
以上の3点のいずれかに自社が当てはまる場合は検討してみてもいいかもしれません。
通常枠の補助金上限と補助率を以下に示します。
《上限金額》
対象事業 |
補助金上限額
(円)
|
補助対象事業A |
100億 |
補助対象事業B |
100億 |
中小企業特例事業 |
5億 |
《補助率》
対象企業 |
補助率 |
補助対象事業A |
大企業:1/2以内~1/4以内
中小企業:2/3以内~1/4以内
|
補助対象事業B |
大企業:1/2以内~1/4以内
中小企業:2/3以内~1/4以内
|
中小企業特例事業 |
2/3以内 |
▼詳しくは経済産業省のサプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金ページへ
4. 補助金以外の支援制度
①海外サプライチェーン多元化等支援事業
日本貿易機構(JETRO)の支援事業で、日本とASEANのサプライチェーン強化を目的に、海外生産拠点拡充のための設備導入や市場調査を支援するものです。
日本に拠点および法人があるか、日本での事業形態がある会社が対象です。
申請金額や補助率は、以下の通りです。
《申請金額》
1億円〜15億円
※申請できる補助金の額であり、実際には企業の規模ごとの審査で決定されます。
《補助率》
対象企業 |
補助率 |
大企業 |
1/2以内 |
中小企業・中堅企業 |
2/3以内 |
JETROのホームページにて随時随時公募期間等が掲載されるため、自社と合致する場合は確認してみましょう。
▼詳しくはJETROのホームページまで
②先端設備等導入計画
中小企業庁が行なっている自社の生産性向上のための「先端設備等導入計画」を市区町村から認定を受けた中小企業に対して、設備投資額を支援する制度です。
対象は、計画期間内に年平均3%以上の生産性向上のために先端設備などを導入する「導入促進基本計画」を策定した上で、導入先の市区町村に認定を受けた企業です。
補助内容としては、先端設備導入において、固定資産税の特例を受けられるものであり、機械装置や器具備品、測定や検査器具等が対象です。
▼詳しくは中小企業庁の先端設備等導入計画ページへ
工場自動化の方法
工場自動化に着手するためには、事前に綿密な計画を立てておく必要があります。ここでは、工場自動化を具体的なイメージするため、プロセスや注意点をまとめます。
工場を自動化するプロセスを学ぼう
①自動化が必要な作業を洗い出し、スモールスタート
いきなり全てのシステムを刷新することは難しいので、作業レベルで自動化が必要な部分を洗い出しましょう。洗い出したら優先順位をつけ、必要な自動化から進めていきます。
②自動化で解決されたかを検証する
①で自動化した作業を評価するプロセスが必要です。自動化によって、効率や危険性の問題が解決されたかを現場レベルで調査しましょう。
③自動化の範囲を広げる(ライン・工程)
作業の自動化により問題解決が見込まれると判断したら、次は作業の段階からライン全体・工程全体へと広げていきましょう。工程やラインの自動化は、自社に合わせたシステムや機械が必要となるため、余裕を持った計画を立て、産業用ロボットを選定する必要があります。
④自動化の範囲をさらに工場全体に広げる
さらに工場全体へと自動化を進めていきます。しかし、コストや時間がこれまでのプロセスよりもかかることが予測されるため、高い費用対効果が見込まれなければ、ラインや工程の自動化までで終わらせてもよいでしょう。
⑤他工場や本社との連携
大規模な工場や連携先が多い場合には、AIを導入することで、それらの連携を自動化してもよいかもしれません。
自動化を成功させるために注意すべきポイントまとめ
ここまで工場の自動化についてお伝えしてきましたが、中でも注意すべきポイントについてまとめます。
①工場の生産に関わる作業を分解して考え、各工程に優先順位をつけて自動化を始める
工場の生産には、受注、設計、生産など多くの過程があります。その中で危険性の高いものや単純作業など、自動化の優先順位が高いものからスタートしましょう。
②設備コストがかかることを念頭に入れ、補助金や費用対効果を検討する
機械やシステムの導入はコストが大きいため進みにくいですが、あらかじめその費用を超える効果が予測できれば、導入に踏み出しやすくなります。様々な補助金を活用する方法もあるので、入念に調べて実行しましょう。
《支援一覧》
補助金等の支援 |
概要 |
ものづくり補助金 |
中小企業などを対象に新規事業の推進に伴う設備投資資金の支援 |
事業再構築補助金 |
コロナで影響を受けた中小企業が、新分野での事業展開や業種転換、事業再編等に取り組むことを支援 |
サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金 |
国内生産拠点等の整備に向けた投資を促進させる目的 |
海外サプライチェーン多元化等支援事業 |
日本貿易機構(JETRO)の支援事業。日本とASEANのサプライチェーン強化を目的に、海外生産拠点拡充のための設備導入や市場調査を支援 |
先端設備等導入計画 |
中小企業に対して、設備投資額を支援 |
③従業員への説明をしっかりと行って不安を解消するとともに、新システムに移行するために教育にも力を入れること
自動化を進める中で従業員の「仕事がなくなる」という不安を解消し、効率的にシステムを使ってもらうための教育にも人員や時間を取っておくとよいです。
④自動化で成し遂げたいことを明確にすること
自動化は、会社の規模や求めているものによって自動化を行う規模や種類が変わってきます。つい効果の分かりやすい目の前の自動化だけを見てしまいがちですが、全体を俯瞰で見て自社に必要な取捨選択を行いましょう。
工場自動化の今後の課題や展望
現在でも、様々な作業や工程が人の手を使わずに実行できる「自動化」は工場で用いられています。より一層進むと考えられている自動化の今後の課題や展望を見ていくことで、今やるべき自動化を見つけていきましょう。
工場自動化を取り巻く課題は、現在も存在しますが、より深刻化するのではないかと予想されます。特に、人材不足と技術後継者の不在問題は、工場の存続自体に大きな影響を与えるものです。特に製造業において深刻化する人材不足解決の糸口は、自動化にあるといえるでしょう。技術後継者問題も同様で、機械やロボットによって正確に作業が再現されれば、技術を持たない人でも製造が行えるようになります。
また、テクノロジーを取り入れることに消極的であることも課題です。テクノロジーの進歩により自動化を進められても、働き手の理解を得られなければ、効率化が図れるとはいえません。テクノロジー発展の流れに乗り、自社に必要な技術を選択できるかという点が求められているといえるでしょう。
今後の展望としては、AIの導入で省人化をさらに進め、工場間や市場間といった大きな範囲での自動化が行われることが見込まれます。工場の自動化(ファクトリーオートメーション)の時代からスマートファクトリーの時代へと変化するのです。スマートファクトリー化できれば、工場内の各家庭の情報を集約し、改善案を立案し試すというPDCAサイクルを回せるようになります。サステナビリティが求められる中で、余剰生産や製品不足といった社会的な問題も解決され得るのです。
※スマートファクトリーとは、工場全体にIoTを導入して、生産性を最適化する先進的な工場を指します。ドイツ政府が提唱した「インダストリー4.0」をきっかけに注目を集める試みです。
始めやすい!業務自動化の第一歩を踏み出すならAIチャットボットのPEP
工場の自動化は、メリットも大きいですが、新しいシステムの使い方等のマニュアル作成や従業員教育が求められます。しかし、そこに人的リソースを割くのが難しい場合は、補助ツールを一緒に導入するのも一つの手です。チャットボットなど、社員一人ひとりがマニュアルやルールをすぐに確認できるツールの導入も検討すると良いかもしれません。
チャットボットは、さまざまな使い方ができ、工数を取られがちな社内の問い合わせ対応も代行可能です。PEPは、のチャットボットを誰でも簡単に作成できる機能や、答えられなかった問い合わせを一覧にしメンテナンスできる機能があります。
PEPの特徴① 誰でも簡単にシナリオ作成が可能
シナリオの構成にプログラミングの知識を必要とせず、誰でも簡単に操作可能です。
チャットボットの作成は画面上に用意されているパーツをドラッグ&ドロップで組み合わせるだけなので、手間をかけずにチャットボットをつくることができます。
PEPの特徴② 様々なチャットツールとの連携が可能
LINE WORKSやSlack、Teamsなどの社内コミュニケーションツールとの連携ができます。各種ツールと連携することで、さらなる業務効率化を実現できます。例えば、システムのマニュアルをチャットボットで簡単に検索することで、あらゆる情報を探す手間を省くことが可能です。